特定研究会

「生命をはかる」研究会 - 会長挨拶

未踏科学技術協会「生命をはかる」研究会 - 発足の背景と趣旨・目的

  日本政府は、今後の我が国における科学技術の重要課題として「バイオ」「ナノテク」「IT」および「環境」を掲げました。 これらに国費を重点的に投入するという方針が立てられ、色々な施策が急速に動き出しています。

 

 今日の科学技術、とくにライフサイエンスは、"データー・ドリヴン"という言葉に象徴されるように、物理・化学の「計測」と「数理」、すなわち多くのデーターの測定、解析、意味抽出、解明された本質の一般表現、によって駆動されるようになった来ました。 優れた「計測」と「数理」は、上記の4大課題のいずれにとっても不可欠のツールであり、それが関係するハード・ソフト・ウェットに関係するわれわれの前面には多くの開発課題、もの作りの活躍の場、そして商業マーケットが開けています。  

 この世界競技のプレーグラウンドで活躍するためには、我が国の得意とする物作りの伝統を踏まえて、これまでの科学技術の成果を総合して新機軸を出して行く智恵が必要です。  

 特にツールの開発の重要性については、輸入武器で闘ったどこかの国々が米国の最先端軍事技術に完膚無きまでに叩かれたいくつかの前例を反面教師として思い出させます。 "輸入機器・試薬・ソフトを頼りに世界競争をしているどこかの国"とならないようにと願うのです。

 

 今日、わが国は、物理学・化学・情報科学、エレクトロニクス、各種の機器エンジニアリング、等を総合した高度のテクノロジー・システムを駆使する事によって、生命関連の情報計測、意味解析、新技術開発、独創的製品(データーベース、クローン、変異生物、新計測技術など)作製で世界の先頭に立とうとしております。

 

 そこでは、「高く広い視野をもった研究理念」、「研究対象の巧妙な選定」、「独創的計測手法」、「信頼度の高い試薬などのウェット技術」、「効率的かつ利便性高い情報ソフト・ハード」、「使命感を共有した研究者集団」など、高度研究開発に必須の諸要素に対する一貫した経営理念が必要です。 「計測」はその中心課題であると同時に、もはや単独の競技ではなく、上記の諸要素の要とする全体最適の戦略でもって磨き上げて行かなければ世界競争に勝ち抜けないと感じています。


これからのわが国は、その持てる先端科学技術を結集して、どのような対象が出てきても対応可能な柔軟性のある「生命計測システム」および「環境計測システム」、さらには「社会計測システム」までも視野に入れて用意万端怠りないことが必要です。 それらのあるべき姿を模索し、独創的な新課題を発掘して行くためには、多くの異業種の人達が話し合って行く事が必要です。

 

 ここに開催する未踏科学技術協会「生命をはかる」研究会では、これらの背景を十分に意識しながら、分野横断的、また、産学官縦断的に、将来に向けての可能性を話し合い、認識を共有し、具体的なイメージを作り、最終的には国家プロジェクトへの提言を行います。

 この様な理由から、今後、企業発展のための広い視野を持つ第一線の研究者・技術者、研究開発の管理責任者の方々の積極的な参加をお願いする次第であります。

未踏科学技術協会「生命をはかる」研究会
会長 和田 昭允
(東京大学名誉教授  (独)理化学研究所 研究顧問)